税務調査は、適正に申告がされているかどうかチェックするために行われますが、調査方法や調査する担当部署はケースバイケースです。一般の調査と、いわゆる「マルサ」や「リョウチョウ」・「トクチョウ」「着眼調査」との違いは以下の通りです。

一般の調査(ほとんどがこの調査です)

申告に「不正行為がなされている可能性があるのでは」というような疑問がそれほど強くもたれていない場合は、たいてい電話連絡などでその納税者の承諾を得てから、実際に帳簿や証憑書類などの点検を中心に調査が行われます。(ただし、現金商売の場合は事前に連絡のないのが普通)。これを一般的な任意調査といいます。
通常、税務調査といった場合はこの調査を意味します。

「リョウチョウ」・「トクチョウ」による特別調査

同じ任意調査であっても、かなり厳しく調査される場合があり、これを特別調査と呼んでいます。
場合によっては、会社はもちろんのこと、社長の自宅、銀行や取引先等に数十人で同時に調査に出向くことも合います。
中小法人の大口・悪質・複雑なケースには国税局の資料調査課(通称りヨウチョウ)、あるいは税務署の特別調査部門(通称トクチョウ)がこの調査にあたります。この場合、事前連絡はありません。
だいたい、火曜日に調査開始が多いと言われています。

「マルサ」による強制調査

映画「マルサの女」で一躍有名になった調査です。
納税者の組織形態や、事業規模に関係なく、任意調査では把捉できない悪質で計画的な不正に対しては、捜査令状により強制調査が行われます。 これを担当するのが国税局の査察部門(通称マルサ)です。優秀な調査官が、100人規模で調査することもあるようです。
年間で300件弱行なわれています。

半日程度の着眼調査

着眼調査が税務調査の8割を占める。
16年度から開始した「着眼調査」は、一人でも多くの納税者と接触し、調査件数の減少に歯止めをかけることを目的として導入して1年。初めての調査件数がまとまったが、特に所得税は実地調査(いわゆる税務調査)の8割を占めた。
着眼調査は通常、半日程度で行われる重点調査のこと。

税務調査先の決定はどのようにされるのか?

調査先の決定は最終的には、税務署の統括(通常の会社の課長職)がきめますが、一般的な任意調査においては、次のような業種やケースにあてはまる納税者が調査対象として選ばれやすいといえます。

①業績が特に良い業種

確実に調査があります。業績が良いと負担税額が多くなります。業績が良い納税者はそれだけ重税感を持ちやすくなるので、ごまかしたくなるのでは、という理由によるのでしょう。

②不正申告の割合が高い業種

過去の例から、他の業種に比較して不正が多かった業種は調査の対象になりやすいといえます。パチンコ店やバー・クラブ・不動産業・建設業などがこれにあたります。

③過去に不正行為があった納税者

税務署は調査の度に、調査記録と、会社の納税態度の評価をします。前回の調査時に不正行為があって修正申告していたり、営業活動していながら申告のなかった場合は、調査が多くなります。

④今まで黒字なのに赤字になっている場合

赤字をはじめて出したとか、2期以上赤字申告が続いている会社。赤字の原因が不自然と考えられるとき。

⑤3年ないし5年間、税務調査がない場合

しばらく税務調査がないと、納税に関心がうすくなり、申告に間違いが起こりやすいからです。また、税金の時効との関係もあります。

⑥財務諸表に異常な数字がある場合

事業規模が同じ程度の同業者と比較して、その利益率が目立って低いとき。売上げや仕入れなどのバランスが悪い場合や、逆に財務諸表がきれいにできすぎているとき。

⑦その他

税務署に情報の提供があるケース等

経営課題発見のためのプレショートレビューだけでも結構です。
また当事務所では、セカンド・オピニオンサービスも実施しております。すでに税務顧問の方がいらっしゃる場合でも、「株式公開まで考えると不安」、「他の専門家の意見も聞いてみたい」、というニーズは多く、そのニーズに対応したサービスです。お気軽にお問合せください。

税務調査に際し準備しておく書類関係等

1.総括的事項

調査の初日の午前中ぐらいは下記について質問されます。

(1) 会社の経歴書 (パンフレット)

  1. 設立年月日
  2. 事業の内容
  3. 主な取扱い商品
  4. 取引金融機関
  5. 支店、営業所等の所在地
  6. 役員の状況
  7. 主な売上先
  8. 主な仕入れ先

(2) 会社の組織図 役員、従業員の職務分担状況

2.揃えておく帳簿・資料(3期分)

調査は大体下記の順番で進められます。

(1) 帳簿関係

  1. 元帳
  2. 金出金振替伝票
  3. 現金出納帳
  4. 当座預金出納帳(小切手等のミミ)

※月別の集金予定表、支払予定表、資金繰り表もチェックされます

  1. 受取手形記入帳
  2. 支払手形記入帳(手形のミミ)
  3. 売掛帳(得意先元帳)
  4. 買掛帳(仕入先元帳)

(2) 売上げに関する資料

翌期の初めの売上が重点的にチェックされます。

  1. 見積書
  2. 工事契約書
  3. 納品書
  4. 請求書
  5. 領収書(振込支払の控)

(3) 仕入、外注に対する資料

棚卸との関係が合っているかチェックされます。

  1. 見積書
  2. 工事契約書
  3. 納品書
  4. 請求書
  5. 領収書(振込支払の控)

(4) 経費に対する資料

棚卸との関係が合っているかチェックされます。

  1. 請求書
  2. 領収書(振込支払の控)

(5) 棚卸表(清書した表の他、原始記録)

原始記録は、大切に保管しておいて下さい。)

  1. 決算期末の近くに仕入れたもので、売上げに計上されていないものが在庫に計上されているか確認
  2. 直送品関係がもれていないか?
  3. 外注先等の預け在庫は、計上されているか?
  4. 翌期の初めに売上計上分から在庫の確認

(6) 預貯金関係

  1. 会社の普通預金の通帳
  2. 定期預金、定期積金の通帳及び証書

※法人の税務調査では個人の普通預金の通帳、定期預金、積金の通帳及び証書を要求される場合があります。

(7) 人件費関係

  1. 源泉台帳(一人別徴収簿)並びに扶養控除申告書等
  2. 社会保険関係の書類
  3. 特別徴収の住民税の通知書、タイムカードの記録等(従業員の実在を確認のため)
  4. 役員報酬の改定並びに役員退職金の計上があった際は、それに関する議事録及び計算の明細(※注意事項 家族役員、従業員の仕事の内容と報酬給料は適正か)

その他調査に際し心得ておくこと

  • 通帳、証書頬の保管場所の確認をすることがあります。(会社、並びに個人)
  • 金庫、引き出しの中(机を含む)等を確認することがあります。
  • 当日の現金出納帳と現金の実際有育との確認(レジの現金も加えて計算する)
  • 生命保険証書を確認することがあります。
  • 不動産及び機械設備の
    ①2~3年の問に(会社、個人)で不動産を購入しているときは、
    購入があった時 売買契約書、領収書、仲介手数料の領収書
    ※個人で購入している場合も要求される場合があります。
    ②機械設備、車輌運搬異等購入しているときも見積書、契約書、領収書(購入に対する資金源の資料)
  • 役員の社宅家賃の 計算は適正か?
    ①賃貸契約書は、整備されているか
    ②社宅家賃の計算資料は整備されているか
  • 重要な契約書や議事録の再チェックと整理
  • 会計事務所との事前打合せ

税務調査はどのように行われるのか?

通常の税務調査は以下のような順番で行われます。前項の、準備しておく書類を基本に、ここでは典型的な2日のパターンで説明します。

(1)1日目

10:00
①朝10時になると、税務職員がやってきます。
そして、身分証明書を提示しながら挨拶をします。
名刺を持っている調査官もいますが、驚く事はその作成費用は自前だそうです。
②雑談から入り、会社の経営方針、業務内容、販売方法、会社組織、業種の特殊性等について質問されます。
③元帳や得意先元帳、会計伝票等の提示を求められます。
12:00
調査官は昼食は通常外で食べます。
13:00
④売上げ内容のチェック(調査修正項目のうち19%を占める。以下同)
修正項目の約2割はこの項目です。そのうち
売上げの計上時期のズレ 40%
今期に計上すべき売上が,来期にずれ込んでいないか。
小口現金の売上げの計上もれ 55%
実際の現金残高と、帳簿の残高を合わせておきましょう。
⑤原価の内容のチェック(5%)
棚卸の計上漏れが多い
特に、仕掛品の経常もれが多い。期末で,受注して、すでに作業を開始していれば仕掛品です。
材料費は、会社側もよく計上していますが、計上漏れでよく指摘されるのが、作業に関わった人件費部分です。
外注費、賃金のチェックは該当者の住所や電話の確認がされます
⑥反面調査との突合
税務署が予め取引先や銀行の調査をしていて当社に関する資料を持参している場合があります。
不一致がある場合は、厳しく問い詰められます。
16:40
⑦帰る準備
明日の宿題等がだされます。
⑧16:50頃には帰ります。

(2)2日目(最終日の場合)

10:00
①昨日の続き
②費用損失等のチェック(29%)
うち、他科目中の交際費の認定が23%と一番多い。
その他、修繕費、寄付金、旅費等のチェックが多い。
③利用資産等のチェック(18%)
会社の業務にきちんと使われているか?等
④その他の項目
12:00
調査官は、昼食は通常外で食べます。
13:00
④問題点の絞込み
問題点の証拠固めをします。
15:30
⑤最終結論の確認
この日でほとんど修正の結論が出るが、持ち帰って検討となることも、何もない場合もある。
16:50
この頃には帰ります。
後日、調査官から顧問税理士に税務署での検討結果の報告があります。修正がある場合には、修正申告書を提出するとともに、税金を納めなくてはなりません。修正がある場合は延滞金や罰金がかかります。

タイムスケジュールとしては以上のようですが、その中には色々なドラマがあります。

主なチェック項目等

実地調査でのチェック項目のトップランクは以下のようです。

  1. 担当者からの直接聞き取り 68.8%
  2. 書類のコピーの持ち帰り 67.5%
  3. 取引先への半面調査 34.4%
  4. 倉庫や現場への立ち入り 15.7%
  5. 金庫の中の現預金実査 8.6%
  6. 取引銀行への半面調査 8.0%
  7. プライバシー部分の調査 10.4%(⑦のみ13年度税理士会調査)

税務調査の日数は何日ぐらいか?

日数は1日から2日が一番多いようです。また、調査に当たって、事前通知あり、なしも掲示しました。税理士会のアンケートでは以下のようです。(14年11月)

調査日数

日数 1日 2日 2-3日 5日以上 不明
法人税 事前通知なし 6 (%) 14(%) 49(%) 20(%) 11(%) 6(%)
  ”  ”あり 94(%)
所得税 事前通知なし 10(%) 36 37 13 7 6
  ”  ”あり 90(%)
資産税 事前通知なし 7 (%) 57 17 13 8 4
  ”  ”あり 93(%)
 合計 20 48 20 11

おもしろくて役に立つ税務調査いろはカルタ?

【い】いつの日かメモ一枚が役に立つ
一枚のメモを出したが命取り
【ろ】論より数字の根拠だせ
論より実地に検査しろ
【は】はっきりと言えない立場のこともある
はっきりと言わねば不利に扱われ
【に】逃げ道をふさいだ上で質問し
逃げ道のないこと悟りあきらめた
【ほ】法律の不知無知半知は救われず
【へ】屁理屈で納得しろは無理がある
へそまげて抵抗しても法は法
【と】とりあえず計算だけはコンピュータ
   「トウチョウ」も特別恐れることもなし
【ち】「頂門の一針」調査で教えられ
調査官納税者から育てられ
【り】領収書ないと法人税はダメ
領収書なくとも消費税はよし
【ぬ】抜きやすい現金売りに要注意
抜けやすい現金売りに要注意
【る】累卵の危うき嘘はすぐにバレ
類似した文字の証票見落とすな
【お】「・・・を旨とすべし」は旨として
【わ】わからない現金支出はありえない
訳のない支出するほど余裕なし
【か】仮装して多く収めて疑われ
仮装経理あれば不正も予想され
【よ】要領よい短期の調査よろこばれ
要領を得ない対応が長引かせ
【た】退職の事実なければ賞与課税
退職の事実つくって利益消す
【れ】歴史ある名前を汚す税逃れ
歴史ある社名にかけて不正なし
【そ】相談して局お墨付きと抗弁し
相談時不利な材料みな隠し
【つ】突きとめる金の流れとたまり先
突きとうす嘘三人でも虎ならず
【ね】年率は高利貸し並み延滞税
値切っても負けてくれない延滞税
【な】納得のできる指摘は修正を
納得が得られぬ時は更正で
【ら】落札があれば疑う談合金
埒もない噂で済まぬ談合金
【む】無理をしない日を改めて正攻法
無予告の調査も任意断れる
【う】打ち解けて話したくとも倫理法
疑って裏の裏読み身を守る
【い】違法でも所得は所得課税する
違法支出原価・費用にはならず
【の】納税をするときにだけ納税者
納税者使い道まで見届ける
【お】押し付けや決め付けの処理好まれず
押し黙るままでもつくるてん末書
【く】口先の説明だけで終わらすな
口裏を合わせて通謀虚偽表示
【や】やむを得ぬ理由があれば宥恕され
やむを得ぬ事情の判断税務署に
【ま】任せると信頼しても検証を
毎日の帳合い現金は確実に
【け】見解の相違といって修正し
見解の相違があるなら異議・審査
【ふ】不利益な処分でなければ争えず
不満でも消費税は異議前置
【こ】更正の付記理由は簡明に
更正を望んで公示免れる
【え】襟正し真摯に批判受け止める
遠慮しない批判税務を改善し
【て】手は出せぬ任意調査に限度あり
適切な協力で調査円滑に
【あ】青色の要件帳簿の備付け
青色の取消し判断厳格に
【さ】歳入の不足と調査無関係
歳入の不足調査で補えず
【き】教育の力で育てる納税者
教材は親の源泉徴収書(納税申告書)
【ゆ】許されぬ負担軽減脱税行為
許される負担軽減節税行為
【め】明確に事業と家計の財布分け
明朗な経理で社員も信頼し
【み】見てないところ認めたわけでなし
見きれないところは次の調査時に
【し】信じるな信じる者は騙される
人格と金銭感覚別のもの
【え】円満に調査終了指導のみ
円滑な調査進行共同で
【ひ】否認する理由根拠は明確に
費目変え交際非課税免れる
【も】「漏れです」と収入だけを指摘する?
漏れならば経費についても指摘あり
【せ】説明の責任果たせ調査官
説明に専門語用いるな
【す】推計は必要性と合理性
推計で課税仕入の控除なし

『税務調査いろはカルタ』 より
◇税理士 衛藤 政憲 著

最近の税務調査の傾向と留意項目は?

最近の法人税調査は、95%に事前通知があり、85%は税理士に通知があるが、5%は事前通知なしに行われる。
調査日数は、2日間が多く、84%は4日以内に終わる。
調査の結果は、75%が何らかの修正があり、悪質な重課税処分がその内21%であるというのが平均的な税務調査のパターンのようだ。
(東京税理士会税務調査アンケート)
また、調査修正項目では費用、売上・収益、利用資産等、その他資産の計上の誤りの順で多いようである。
最近の税務調査の主な留意点を挙げれば以下のようである。

1. 現金

現金の調査は約9%の確率で実施され、現金の実際有高を実査し、帳簿残高と突合します。この作業で両者が一致しなかった場合調査官は記帳全体の真実に疑問を持ちます。さらに金庫の中の、ハンコ、鍵、プリペイドカード等の使われ方や、所有者等で不正の手がかりを見つけようとします。例えば、ハンコがあれば調査官は、そのままハンコを押してよく使われて朱肉が残っているものの利用理由を追求してきます。

2. 預貯金

決算書に計上されていない「隠し口座」等のチェックがされます。税務調査では、事業所や代表者の住所近辺の金融機関に関係口座の内容等を問い合わせ「隠し口座」が無いか確認することがあります。

3. 卸商品、仕掛品等

期末近辺で購入した商品等が計上されているかチェックします。特に、製造業やサービス業等で人件費部分の仕掛品計上を忘れがちなので注意しましょう。

4. 有形固定資産

期中の資産の増減と減価償却、用途等がチェックされます。購入、売却時の価格や付帯費用が適正処理されているか、除却時は除却の要件を満たしているか等です。減価償却は使用開始は何時か、耐用年数は適切か等、チェックされます。

5. 役員取引

借入の裏づけをチェックします。借入の原資はきちんと役員の資金から出ているか、売上の計上漏れを借入としてないか、社長個人に財産が不当に移転してないか等が確認されます。

6. 売上

売上の計上漏れが無いかは調査の大きなポイントです。期末の締め後の売上が計上されているか、今期にされるべき売上が翌期に繰延べされていないか等、翌期首近辺の売上が徹底的に調査されます。

7. 人件費

支払額が妥当か、架空の人件費は無いか、源泉の納付書記載総額と一致しているか、非居住者等の源泉徴収が妥当かチェックされる。

8. 保険料

養老保険等の一部が資産に計上され、保険会社の証明書と合致するか、さらに給与、福利厚生費になるもの等の区分が適正かチェックされる。

9. 交際費

費用の修正項目の中で一番多いのが交際費である。会議費等他科目に混入している交際費は無いか、通常要する額を超えていないか等必ずチェックされる。

10. 広告宣伝費

不特定多数の者を対象にしているか、前払費用や貯蔵品、繰延資産になるものはないか等チェックされる。

11. 改正税法関係

同族会社の留保金課税の特例、有価証券の時価評価制度、ソフトウェアの資産区分と減価償却等改正項目が妥当か等チェック。

12. マルサの調査はどうか

査察着手件数は77件で、検察庁に告発した件数は51件(前年57件)で、告発率は約70%で、告発した事件1件当たりの脱税額は138百万円です。

13. 消費税

課税取引かどうかの判断は個々の取引ごとに行いますが、決算時に再度、課税売上高・非課税売上高は正しく集計されているか、非課税仕入れとなるものを課税仕入れとして仕入税額控除の対象にしていないか等、全体的に見直しておくことが必要です。

14. どこに隠していたか?

脱税による簿外資産等の隠匿場所の代表的なのは、

  1. 居宅の風呂場脱衣所の床下収納庫
  2. 居宅書斎の本棚に並べられた書籍の後ろ
  3. 居宅の寝室天袋内において施錠されたアタッシュケース内
  4. 居宅台所の吊り戸棚内の土鍋の中

などのケースがあった。

15. 告発後の裁判状況

有罪率99%、1件当たり犯則税額12千万円、罰金3千万円、懲役月数15月。脱税も悪質だと、隠した以上取られ、刑務所行きになります。「知らなかった」という言い訳は通らないので、きちんとしましょう。

税務調査の件数と傾向は?

最近の申告調査件数は以下のとおりです。

法人税の申告調査件数

年度 14年度 15年度 16年度 17年度 平均
提出数(万) 272 273 274 276 272
調査件数(件) 116,707 110,325 124,000 143,000 130,706
実調率(%) 4.3 4.0 4.5 5.2 4.8

所得税の申告調査件数

年度 14年度 15年度 16年度 17年度 平均
提出数(万) 2027 2139 2167 2318 2,112
(うち還付) 1063 1094 1082 1196 1,065
調査件数(件) 859,533 741,798 780,687 806,823 846,207
実調率(%) 4.2 3.5 3.6 3.5 4.0

調査内訳

特別一般 73,533 6,260 48,372 54,378 67,593
(%) 0.4 0.0 0.2 0.2 0.3
着眼 7,538 191,315 169,445 122,766
(%) 0.0 0.9 0.7 0.5
簡易接触 786,000 728,000 541,000 583,000 726,000
(%) 3.9 3.4 2.5 2.5 3.5

申告の修正

更正の請求

納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合 更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から1年以内です。税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、税金を還付します。

修正申告

納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合、延滞税をあわせて納付する必要があります。

最近の税務調査の事例

最近の税務調査<H18~19>

  1. ソニー、744億円申告漏れ、海外子会社との取引巡り――国税局指摘
  2. シャープが申告漏れ、8億円、大阪国税局
  3. コクド株も名義偽装――東京国税局、同族会社と認定、追徴課税
  4. 武田、追徴570億円、申告漏れ処分に不服主張
  5. P&G日本法人、190億円申告漏れ、大阪国税局が指摘
  6. 住友金属、株主、76億円賠償請求――代表訴訟、「受注工作で裏金
  7. 関電申告漏れ、18億5000万円――国税局指摘
  8. 70億円所得隠し、太陽実業など、国税が指摘
  9. セイコーエプソン、28億円申告漏れ、元社員の不正取引も発覚
  10. フジキン、18億円所得隠し、国税指摘、9億円追徴
  11. 東海グループ、28億円申告漏れ、7社に国税指摘
  12. 橋下徹弁護士が2500万円申告漏れ、1000万円追徴応じる
  13. 中部電、申告漏れ、76億円、1億円は所得隠しか
  14. NHK、2億7000万円申告漏れ、書類不備を国税庁指摘
  15. 東映が所得隠し、2億9000万円、国税が指摘
  16. 神慈秀明会、創立者遺族、16億円申告漏れ、国税局指摘、美術品寄贈認めず
  17. 郵政公社のセンター、税金10億円徴収漏れ――大阪国税局指摘、郵貯利子への

課税

  1. 西村議員、3000万円申告漏れ――国税局指摘、名義貸し巡り
  2. 2003年死去の大林組元会長遺族、遺産11億円申告漏れ
  3. ソニー盛田家資産管理会社、230億円申告漏れ、国税局指摘に異議申し立て
  4. 相続税申告漏れ、3.7%増の4000億円――昨年度、国税庁まとめ
  5. 税理士が5700万円脱税、神戸地検、容疑で逮捕――架空の経費を計上
  6. 個人事業者の申告漏れ8963億円、前年より130億円減
  7. ベルコ31億円申告漏れ、大阪国税局指摘
  8. そごうの水島元会長に、二審も90億円支払い命令
  9. GE系金融、37億円申告漏れ、国税局指摘、融資利益を米国移転
  10. トヨタ申告漏れ60億円、国税指摘――3年間、20億円追徴課税
  11. 国の委託で不正――厚労省の外郭団体、不適切な経理で3億6000万円返還
  12. 小西被告4億円申告漏れ――小西被告、逮捕前に修正申告、税務調査の回避狙い
  13. 遺産申告漏れ、「海外」70%増、05年事務年度
  14. 住友鋼管、20億円申告漏れ
  15. 日本写真印刷、所得隠し、棚卸し資産巡り大阪国税局指摘、2年間で6億円
  16. ソフトバンク子会社、80億円申告漏れ――国税指摘、株取引、交際費と認定
  17. テレビ大阪、外注費1億7000万円流用、社員を懲戒解雇
  18. 法人申告漏れ1兆6000億円――05年度、11%増、海外取引絡み急増
  19. SBI、30億円所得隠し、株式売買「関連会社への寄付金」――東京国税局指摘
  20. 2005事務年度、個人事業者の申告漏れ8957億円
  21. 8億5000万円申告漏れ、アイフル、大阪国税局指摘
  22. 印紙税問題決着、融資枠、事実上非課税に――過去3年分は「不明」、不安の声残る
  23. 住友軽金属、10億円超す利益移転――国税局、子会社支援と指摘
  24. 「ハリポタ」翻訳者、35億円申告漏れ、国税局指摘に異議、「スイスで納税」
  25. 日本人初の宇宙旅行予定者、3年で30億円申告漏れ――元ライブドア取締役
  26. メガネの「三城」会長が申告漏れ、30億円、大阪国税局指摘
  27. 豚肉関税脱税事件、地裁判決、協畜元社長に懲役3年、脱税額118億円認定
  28. 法人実効税率、日本、OECDで最高、民間調べ6年連続
  29. 三菱商事89億円、三井物産82億円、豪事業巡り申告漏れ、国税指摘
  30. 高島屋、11億円申告漏れ、国税局指摘――米子会社に支出巡り
  31. 国税局、京急に85億円、申告漏れ指摘
  32. テレビ大阪が9000万円所得隠し、国税局指摘
  33. 朝日新聞3年で8億円申告漏れ
  34. 日本郵船、6億円所得隠し
  35. JFEグループ、11億円所得隠し、東京国税局指摘、架空委託など
  36. 移転価格税制、追徴リスク低減――欧州金融情報会社、日本企業に財務データ
  37. NEC、23億円所得隠し、東京国税局指摘――部長級ら裏金5億円
  38. 関西ラグビー協会、申告漏れ、1億2500万円、国税局指摘
  39. 中村勘三郎さん申告漏れ7000万円
  40. ホームレス支援、NPO所得隠し、大阪、1億3000万円指摘
  41. メルコ7億円申告漏れ、国税が追徴、系列内取引、利益移し
  42. 読売が所得隠し、追徴1億7500万円、申告漏れ4億7900万円
  43. 日立建機、13億円所得隠し、設立前の子会社に計上
  44. 林家正蔵氏が2200万円所得隠し、襲名祝儀など
  45. 婦人服製造会社、社長ら8億円所得隠し、名古屋国税局、脱税で告発
  46. 日興コーデ、230億円申告漏れ、3年間で、株の含み益計上せず
  47. 通販のニッセン、6億円申告漏れ、大阪国税局指摘
  48. 若い女性に人気のアパレル、6億円所得隠し、国税局指摘
  49. 高島屋が申告漏れ、16億円、大阪国税局が指摘
  50. 「郵政福祉」が申告漏れ、局舎など賃貸料、3年間で180億円、国税局指摘
  51. 竹中工務店、追徴61億円――源泉徴収漏れ、国税局が指摘、「異議申し立てる」
  52. 熊取谷氏とグループ30社、30億円所得隠し、国税指摘
  53. 朝青龍1億円申告漏れ、国税局指摘、テレビ出演料など
  54. 調査先から利益供与、福岡国税局の元調査官不起訴
  55. 育英高理事長ら、2億円申告漏れ、遺産相続

(事務所の勉強会で行ったものです)

元税務調査官による最近の調査

最近税務署の調査官を退官した人が「税務調査の本音」というようなタイトルでセミナーをしているらしい。資料を頂いたのでいくつかご紹介します。

1、税務調査のノルマはあるか

事務年度 7月10日~12月末まで(上期)
1月1日~6月30日まで(下期)
半期で15件~20件である。

(1)選定基準(基本編)

長期未接触 長期とは7年超~

(2)選定基準(一般編)

KSK(国税総合管理システム)システムが朝霞センターにあり、一調査課当たり100件を機械が選定する。その後調査官が選び出す。

(3)選定基準(タレコミ編)

2、調査官はこんなところを見ている。

(1)帳簿のチェック

でも帳簿は信じるなと教えられる。
監査は間違えを見つける。
調査はないものを見つける。

(2)あくまでも原始資料のチェックが重要

見積書、発注書、注文請書、請求書
調査期間 昔1法人当たり4日臨場が2日
現在1法人当たり2日
例)交際費 領収証     17,000円   47、000円
筆圧 光にかざすと見えるコクヨの領収書探し

(3)ゴミも調べる

原始資料を廃棄して、証拠隠滅をしようとする人が多いので。

3、税務調査重点施策

業種、2・3年前に儲かっている業種。

4、究極の税務調査対策

担当者にご質問ください。
当事務所では、800件あまりの法人顧客があり、税務調査のデータベースを作成しております。