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? 経営管理


 経営の失敗事例といったら、古今東西、それこそ膨大な量になるといっていいでしょう。ここでは、特に経営管理の側面から、経営の失敗事例を集めてみました。



31.小口・在庫管理を店長に任せていたら、店長が着服していた。
当社は数店舗を持っており、各店舗の小口現金及び在庫の管理は、各店長に任せている。ところが、C店の店長が、架空の伝票を切って仕入れたことにし、C店のお金を数年間着服していたことが判明した。
(ヒント)
金銭出納と在庫管理、または金銭出納と売掛入金管理など、1人の者に業務を兼務させると、不正が発生しやすくなります。
本部の人間を含む、複数の者による管理を徹底させましょう。定期的に配置換えを行うのも有効です。また、社員の入社時に身元保証書を取るようにしておくのもよいでしょう。


32.顧客の個人情報を誤って漏らしてしまい、損害賠償請求された。
 当社は調査会社であるが、顧客Dから依頼された調査情報を、Dの知り合いでもある顧客Eに誤って送付してしまった。これにより、Dは対外的に大きなダメージを受けることになった。後日、Dから慰謝料の損害賠償請求を受けた。
(ヒント)
度重なる企業の個人データ漏洩事件や、個人情報保護法の施行により、個人情報に対する消費者の関心は大いに高まっています。顧客の個人情報を誤って漏らして損害を与えれば、損害賠償請求される可能性もあります。そのようなリスクに備えて、個人情報漏洩保険に加入する企業が増えてきました。
その他にも、企業を経営していく上でのリスクとして、社屋・設備が火災・地震により焼失したり、果ては社長自身が死亡することにより会社の存亡が危ぶまれること等が挙げられます。
このように、会社はさまざまなリスクに直面するのですが、これらのリスクのうち、保険でカバーできるものも多くあります。
リスク管理はやれば切りがなく、やらなければやらないで済んでしまうものですが、一度事故が発生すると、会社経営に及ぼす影響は計り知れません。会社、従業員、しいては経営者自身の妻子にも、影響が及ぶ場合もあります。それを守るためには、保険などを活用し、万全のリスク管理が必要でしょう。
管理することができないからリスクともいわれますが、リスクヘッジは重要です。


33.利益が出ているので保険に入ったら、銀行借入返済もあり、資金繰りが苦しい。
決算間際になり利益が出ているので、利益を消そうと、当期利益の数字を保険料の目安として、社長を被保険者として会社で生命保険に加入した。
しかし、当社は銀行借入の返済も行っているため、利益がそのまま資金として会社に残っているわけではなく、毎年の保険料支払いが資金的に苦しくなった。
(ヒント)
会社に残る資金の単純な目安として、「当期利益(税引後)+減価償却費−借入元本の返済額」の範囲内で、保険料の額を設定するのが良いでしょう。
減価償却費は、資金の支出を伴わない費用ですし、一方、借入元本の返済額は、費用にならないからです(詳しくは、事例11参照)。
このように、自社の現在の資金繰りとの関係で、保険料額をどの程度にするかは、やはり会計事務所に相談するのが一番良いでしょう。


34.資金繰りの都合上入金を当てにしていた売掛金が、時効にかかってしまった。
なかなか払ってくれない債務者Fに対し、売掛代金をしばらく請求しなかった。
数年後に再び請求すると、Fから「時効だ」と主張され、売掛代金は消滅してしまった。
(ヒント)
債権は、一般的には10年間行使しないと時効で消滅しますが(民法167)、次の場合、もっと時効期間が短くなりますので、注意が必要です(民法170、173,174)。
?旅館、料理店等の旅館代及び飲食代は、1年。
?生産者、卸売商人及び小売商人が売却した商品の代金は、2年。
?請負工事代金は、3年。
この時効にかからないようにすることを、「時効の中断」といいます。時効を中断させる方法としては、「売掛代金の承認」(本人の署名押印)をしてもらうか、裁判をして請求するより他ありません(民法147)。
予防策として、定期的に売掛金の年齢調べを行ない、得意先に対し、決算時などに残高確認をしましょう。


35.赤字事業から撤退できずに、大きな負債を抱えてしまった。
銀行からの継続融資を受けるため、一定以上の売上を確保する必要から、経営に何のメリットもない赤字の事業を継続してしまった。
結果的に、多額の負債を抱え込んでしまい、倒産に追い込まれてしまった。
(ヒント)
事業の継続を判断するときは、部門別管理会計を利用して、各部門の損益状況を冷静に判断しましょう。ある部門につき、抜本的な改革ができなければ、その部門は撤退や売却を検討しましょう。
このように、部門別管理会計は、経営の早期判断に大変有用です。導入に当たっては、自社に合う部門別管理会計ソフトはどれがよいか、また導入した場合に、共通経費の按分等はどのようにしたらよいかなど、会計事務所に相談するのがよいでしょう。


36.売上先が一社に集中していたため、足元を見られ、値引きを要求された。
 売上高の90%が得意先G社によるものであったが、その関係を盾に、G社からは値引きを要求されるなど、足元を見られ続けた。
最近になり、G社は当社のライバル会社との取引に変更したため、当社の売上は大幅に減少してしまった。そのため、給料や家賃の支払にも窮することになってしまった。
(ヒント)
売上の大部分を一社が占めることは望ましいことではありません。この事例のように、リベートを要求されるなど足元を見られた挙句、同業のライバル会社に移られたら、壊滅的な状況に陥ることになります。
ですから、どんなに大口の得意先でも、売上高の30%を超えないように、常に新規の売上先を開拓する姿勢でいるようにしましょう。


37.取引先の倒産により、連鎖倒産してしまった。
取引先の倒産に対する備えをそれほど意識していなかった。
そんな折、主力の取引先が突然倒産してしまい、そのまま一緒に倒産してしまった。
(ヒント)
取引先の倒産に対するリスクを常に考え、「備え」を意識しながら経営しましょう。
なお、倒産防止共済に加入しておくと、倒産対策に大変有効です。毎月の掛金が損金に算入できる上に、取引先が倒産した場合は、掛金累積額の10倍(最高3,200万円)まで借入できます。


38.優秀な人材が流出して相談相手がいなくなり、経営状況が悪化し倒産した。
 社外にブレーンがなく、経営の相談相手は自社の役員・従業員だけだった。経営が悪化するとともに、主要役員や優秀な社員から順に、こぞって流出した。
だんだんと現在の経営状況が判断できなくなり、結果、倒産への道を歩んでしまった。
(ヒント)
普段から、信頼できる専門家(会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士等)に相談しましょう。
経営悪化の時は、会計税務・法務・人事などあらゆる面から、早期の対応策を示してくれます。順調な時も、将来の失敗につながるような小さな芽を鋭く指摘してくれると思います。
小さな会社の社長は、このような専門家を、自社の財務(法務・人事)担当の社外取締役と考えてみてもよいかもしれません。








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