HOME > 小さな会社のやってはいけない失敗例   目次 |  ?資金調達 |  ?設備投資 |  ?人件費 |  ?税金対策 |  ?経営管理 |  ?新会社法 

公認会計士・税理士 遠山事務所  TEL 03-5386-1299


? 人件費


報酬・給与は、金額的な重要性が高く、決定・変更する前に、会計事務所に出来るだけ相談して頂きたいポイントです。
実際支給してしまうと、税務上の問題点や不利を会計事務所が指摘しても、本人はすでにその額をもらっている以上、後で支給形態や額を変えるのは、なかなか難しいからです。

いくつか用語解説をしておきます。
?損金算入、損金不算入
 法人税は、会計上の利益ではなく、法人税法上の「所得金額」に税率をかけて計算されます。会計上の利益は、「収益−費用」で計算されますが、法人税法上の所得金額は、「益金−損金」で計算されます。
「益金」とは、単純にいえば、法人税法上の収益であり、「損金」とは、法人税法上の費用です。会計上のそれと一致しない部分が、法人税対策の打ち所ともいえるでしょう。
従って、「損金算入」とは法人税法上費用に算入される(落ちる)ということです。逆に、「損金不算入」となると、法人税法上費用に算入されない(落ちない)、すなわち法人税額が増えてしまうことになります。
?税務当局から否認
 税務調査において、会計上の経費だが、税務上の経費ではないと言われることです。この場合は、修正申告等で追加の税金を払うことになります。
?役員報酬、役員賞与
 役員報酬は役員に対する定期的な給与です。原則として損金算入ですが、「定期的か」「過大でないか」がポイントとなります(法法34?)。1年間程度は連続して同額である方が良いでしょう。
役員賞与は臨時的な給与です。原則として損金不算入となります(法法35??。使用人兼務役員の使用人分賞与を除く)。



14.経理担当の社員を雇ったが、かえってコストが高くついた。
会社の仕事は全部社長が1人でやっていたが、忙しくなってきたため経理担当の社員を雇い入れた。しかし、仕事は社長が一から教えることになり、社会保険も強制加入で、支出も大幅に増えてしまった。
(ヒント)
帳簿作成のわずらわしさから解放されるため、経理社員を雇う社長もいらっしゃいますが、メリットだけでなく、デメリットも考える必要があります。社員を雇うと給与の他に社会保険も強制加入ですし、求人募集費もかかります。
そこで、経理を会計事務所にアウトソーシングしてしまう方法があります。会計事務所はその道のプロですから、教える手間も省け、安心して任せられますし、パート1人雇う人件費と比較しても、かなりのコストダウンが期待できます。「時間と信頼を買う」ことができます。


15.役員報酬が、総会議事録上の限度額を超えていたため、否認された。
期の途中で、役員報酬の増額を行った際に、臨時株主総会議事録の作成を忘れていた。
そのため、税務調査の際に、実際支給している報酬額が、株主総会議事録に記載されている役員報酬の総額を超えることになり、損金不算入となった。
(ヒント)
商法では、取締役の報酬は、定款や株主総会決議で決めるべきものと規定されています(商法269)。それを超えて報酬の支払をすると、会社の利益を侵害する可能性があるためです。法人税法においても、定款や株主総会議事録上の限度額を超える役員報酬については正当な報酬と認められません(法令69二)。 
そのため、株主総会等で取り決めたことと実際の経理処理が違っていないかを確認しておく必要があります。
なお、株主総会において報酬の総額を定め、その後、取締役会において各人ごとの報酬額を定めている場合もあります。この場合、取締役会議事録上の各人の役員報酬の総額が、株主総会議事録上の報酬総額を超えていないか、チェックが必要です。


16.役員に対する歩合給を否認された。
当社の営業担当役員に対し、業績に応じて報酬を増額支給したいと考え、毎月の報酬以外に、業績に応じた報酬を支払っていた。業績に応じた報酬額は、営業担当役員本人の売上のほか、その部下の売上実績を考慮して算定していた。
税務調査において、業績に応じた報酬分については、損金不算入とされてしまった。
(ヒント)
法人税法上、原則として役員に対する臨時的な給与は損金に算入されません。但し、役員に対して歩合給を支給している場合であっても、それが使用人に対する支給基準と同一の基準により支給されているときは、定期の給与として損金算入されることになっています(法通9−2−15)。
 ここに、同一の基準とは、例えば、使用人の売上実績に応じて歩合給を支給している場合は、役員に対しても役員のみの売上実績を基礎として歩合給を支給しなければならないということです。
そこで、上記の事例の場合、報酬の算定方法としては、他の使用人と同様に、営業担当役員本人の売上実績のみを反映させて報酬を算定しましょう。部下の売上実績も反映させるには、営業担当役員の翌年の役員報酬に毎月定額で反映させる方法がよいでしょう。


17.役員報酬を頻繁に変えていたら、否認された。
 毎月の利益に応じて、役員報酬の額を毎月変えていた。社長には役員報酬は少なくても1年間は一定の金額でなければならないという認識がなかった。
税務調査で役員賞与として認定され、損金不算入となった。
(ヒント)
毎月の利益に応じて役員報酬を出すことを認めてしまいますと、簡単に利益調整ができてしまいます。そこで、法人税法上、役員報酬の変動分は役員賞与と認定され、損金に算入できないこととしています。このように、役員報酬については、一般的な考えと税務上の考えは異なりますので、注意が必要です。


18.役員でない妻に賞与を出したら、役員と同様損金不算入とされた。
役員賞与が原則として損金に算入されないのは知っていた。そこで、社長の妻が役員でないため、妻に賞与を支給した。
ところが、税務調査で、妻が法人税法上のみなし役員であると認定され、賞与の損金算入が否認されてしまった。
(ヒント)
法人税法上の役員の範囲は、商法上のそれよりも、広いのです。例えば、同族会社においては、使用人であっても、一定の要件に該当する者で、会社の経営に従事する者は、法人税法上、役員とみなされてしまいます(みなし役員。法令7二、71??)
 ここに、「経営に従事」するとは、取締役会に常時参加したり、経営方針、販売・仕入計画、人事、資金調達など会社の重要な経営方針の決定に参画することを言います。経歴などを含めて、会社内での発言力が総合判断されることになるのです。
 なお、一定の要件とは、次の要件全てを満たしている者をいいます。
?持株割合が50%に達するまでの株主グループ(同族関係者ごとの集合)に属している。
?持株割合が10%超の株主グループに属している。
?夫妻とその支配会社(夫妻の持株割合が50%以上の会社)を併せた持株割合が5%超。
 株主と役員がほぼ同じであるような小さな会社では、社長の妻はみなし役員に該当することが非常に多いので、注意しましょう。


19.親族に給料を出したら、否認された。
実際には働いていない両親に、仕送りを兼ねて毎月給料を出していた。
ところが、税務調査において、実質的には社長である自分に対する給与であるとして、否認されてしまった。
(ヒント)
会社の利益が伸びてくると、社長の給料を上げることになるでしょう。所得税・個人住民税は累進税率ですから、給料を上げると税率も上がります。そこで、親族に給料を出すことにより、社長1人で給料をもらうよりも税率を抑えることができます。勤務実態があれば、親族であっても、その労働に見合った額の給料を支給できます。仮に1,000万円の給料であれば、2人で500万円ずつ分散したほうが税金は少なくてすみます。 
しかし、実際働いていない親族に給料を出すことはできません。税務調査では、親族の勤務実態について厳しくチェックされますから、ご注意ください。
そこで、親族を役員にすることにより、会社に対する責任が生ずる分として、給与(報酬)を多少上乗せするのも一つの方法でしょう。


20.社長が会社からゴルフ会員権を安く譲受けたら、役員賞与とされた。
 会社所有のゴルフ会員権を、社長に100万円で売却した。税務調査で、時価(取引相場)300万円との差額200万円につき、社長に対する賞与と認定されてしまった。
(ヒント)
社長(役員)に会社の資産を時価より安い価額で売却したときは、税務上は、いったん時価で社長に売却し、改めて時価とその売却額との差額を給与として支給したものとして取扱われます。
従って、社長はこの給与に対する所得税(個人住民税もかかります)を払わなければなりません。さらに、この給与は臨時的なものですから役員賞与となり、税務上会社の損金に算入されません。
ちなみに、役員所有の資産を会社が時価より高い価額で買い入れた場合も同様です。税務上は、時価で役員から買い入れ、時価とその買入額との差額を給与として支給したものとして取り扱われます。
そこで、?会社から役員に資産を売却する場合は、その売買価額が時価未満にならないように、?役員から会社に資産を売却する場合は、その売買価額が時価を超えないように、慎重に設定しましょう。


21.役員だけで慰安旅行したら、役員賞与とされた。
 当社は役員3名だけの小さな会社である。毎年秋に慰労のため社内旅行を行い、会社の福利厚生費として処理していた。税務調査において否認され、役員賞与とされてしまった。
(ヒント)
税務上、福利厚生費に該当するのは、おおむね全従業員を対象とする慰安旅行のための費用で、社会通念上、一般に行われている旅行程度の場合です(措通61の4(1)−15、所通36−30)。
従って、役員だけで行う慰安旅行費用は福利厚生費に該当しません。
また、税務上交際費に該当するものとして、得意先を旅行に招待する費用があります(措通61の4(1)−9)。
しかし、役員だけの慰安旅行は会社業務に関係ないと考えられることから、その費用は交際費にも該当しません。よって、その役員に対して賞与(臨時的な給与)を支給したものとして取り扱われます。
役員だけの小さな会社で、慰安旅行費用を福利厚生費にするのは、難しいです。従業員を雇入れてから考えましょう。


22.退職金を分割支給したら、年金と認定された。
息子に事業を承継し終え、引退する社長に退職金の支払をすることになった。
株主総会決議で支給が確定した年度に一時に損金算入したものの、資金繰りが悪いため、その年度では未払となった。結局、その後8回(8年間)の分割払いにより支給された。
ところが、税務調査において、この分割払いについて、年金支給とみなされてしまった。
すなわち、会社については、法人税法上、退職金を一時に損金算入することが認められなかった。さらに、社長個人については、所得税法上、退職所得による安い課税が使えず、退職年金による雑所得として課税された。
(ヒント)
役員退職金は、株主総会等の決議により支給が具体的に確定した年度に一時に損金算入するのが原則です(法通9−2−18)。
この場合、法人の資金繰りが悪化している場合など、役員退職金を分割支給することに合理的な理由がある場合には、法人税法上は、退職金を未払分も含めて一時に損金に算入できます。また、所得税法上も、退職所得での課税が認められます。これに該当するには、実務上、4回(4年間)程度の分割支給が限度といわれています。
よって、これを超えると、年金としてみなされることがあります(同9−2−19)。この場合、未払計上した退職金の一時の損金算入も否認されます。また、退職所得による安い課税も否認される可能性があります。
会社としてはどのような準備をしたら良いのでしょうか。役員退職金は当然支払うべきものですから、資金の支出は予測できます。引退年齢等を考えて、一時または分割払いにするにしても4回(4年間)程度で支払えるように、資金の支出に備える必要があります。
その具体的な方法として、社長の引退時期にあわせて、必要な額の保険金又は解約返戻金を会社が受け取れるように、保険を利用するのが良いでしょう。












|TOP |地図 |What's new目次 |メイン |ベンチャー |マネー |申告個人 |相続 |研修 |良書 |

Copyright (C) 1997-2005 by Tooyama-jimusho Co.,Ltd. All Rights Reserved 公認会計士・税理士 遠山事務所The Company of Tooyama